
その年(平成4年)の6月か7月。岩国の駅前で美容室を経営している私の友人の長谷川が、とあるお店で一緒に飲んでいる時、
「こんど駅前商連の夜市で路地一本のスペースでイベントの企画をまかされた。俺はオリジナルの盆踊りをやりたい。お前曲を作れ。歌詞は△×●…じゃ」
と、娘が保育園で習っている、確か?
お寺の花子さんがお洗濯をじゃぶじゃぶ………
みたいな歌詞だったと思う。それを私に見せた。
さっそく、その場で♪ふんふゥふーと即興メロディーを鼻歌し、「よし、できた!」今度は、振り付けじゃのお、と二人が飲み屋さんのフロアーで手振り身振りがはじまったので、さぞかし他のお客様は迷惑なことでした。
そんなこんなで、音頭とりは地元オペラ歌手(バリトン)のAさん、お囃子は、バンド仲間に声を掛け集まってもらい、伝統的なドドンガドンではじまり、途中からアップテンポに急変し、ラテンのリズムで乱舞するという奇天烈な盆踊りが完成しました。
あ〜。バカでした。

衣装は何にするかという話になり、「道行く人が、さっと気軽に参加できんといけん。踊る阿呆に見る阿呆おなじ阿保なら踊らにゃそんそん、じゃ。でも、何か統一感を持とう。うん、“緑”でまとめよう」と、緑系の布地、と大きな葉っぱをたくさん用意して、それさえ着ければ、飛び入り参加大歓迎、という方針が立ちました。

とはいえ、大きい葉っぱといえば“やつで”くらいしか思い浮かばない今よりもっと植物に対して無知だった私は、この人は詳しいに違いないと、地元の画家で知己の島崎陽子さんにお尋ねしたところ、「小林さん、ヤツデをお面なんかにしたら顔がかぶれますよ」
「じゃあ、何がいいでしょう?」
「“ほう”の葉なんかどうかしら」
ほ?ー? ぴん!ときた私は、
「いい響きですねえ。で、どんな葉っぱなんですか?」
「ほら、ほうば味噌の朴(ほう)ですよ。楕円形でこんな大きさで、香りもいいんですよ。」
だんだん私は興奮してきて、「ふんふん。それ、どこに行ったらありますか?」
「本郷村あたりにあるって聞いたことがありますけど」
ほ・ん・ご・う これもイイ!
どうも私は“ほ”と言う響きに反応するようです。
「し、島崎さん。一緒に本郷に行ってもらえませんか?」
ということで、無理やり島崎さんを引っ張り出し、朴(ほう)の葉を求めて、本郷の山へ分け入ることになったのでした。
- 2006/05/30(火) 09:13:38|
- 仕込水の水源地と中田さんのこと
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